学長ヴィジョン

1998年4月に第1回目が発表されて以来、学長が毎年度のはじめに教育ヴィジョンを発表しています。
このヴィジョンは、達成・実現度を年度末に総括し、その過程で、次年度ヴィジョンの策定に入るというサイクルができあがっており、大学運営の骨格をなしています。また、自己点検・評価の一環としての役割も担っています。

これまで「教育ヴィジョン」という名称で、その年度の取り組みを学長名で発表してきました。近年は、グランドデザインにおける「教育」「研究」「学生支援」「国際」「生涯教育」等に関する取り組みをまとめたものとなっており、教育に限らず、その内容は多岐にわたっているため、2018年度より「教育ヴィジョン」から「学長ヴィジョン」に改称しました。

2020年度 創価大学学長ヴィジョン

前文
本年度は、新型コロナウィルスの蔓延で、世界が危機に見舞われる中での始まりとなった。本学でも入学式の中止や対面授業の開始を繰り下げるなど、学生、教職員の健康と安全を最優先にして、この問題に取り組んでいる。皆さんと共にこの試練を乗り越え、明年2021年4月2日の創立50周年の佳節を迎えたい。

本学にとって本年度は、「スーパーグローバル大学創成支援事業」の2回目の中間評価を受けることになる。多くの方々に掲げた目標を着実に達成するために努力していただいている。関係者の皆様に心から御礼を申し上げたい。「大学教育再生加速プログラム(AP)事業」も最終年度を終え、今後は、本事業の成果に基づいたアクティブ・ラーニングの推進・高度化と学修成果の可視化をより一層進め、教育の質保証に取り組んでいく。
研究分野では、JST-JICAに2015年度に採択された「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(COSMOS プロジェクト)」も最終年度を迎える。そして、2017年度「私立大学研究ブランディング事業」に採択された「途上国における持続可能な循環型社会の構築に向けた適正技術の研究開発と新たな地域産業基盤の形成(PLANE3T)」の研究開発が、アフリカ・エチオピアの地で順調に継続されている。

大学評価においては、昨年度「SDGs の取り組みを評価する世界ランキング」で日本の大学4位相当にランクイン、「世界大学ランキング日本版」の「国際性」の分野で 16 位にランクアップ、「QS アジア大学ランキング」で総合 401-450 位にランクインなど、高い評価を受けることができた。本年も、教育・研究活動の充実を目指し教職員、学生、関係者の皆様のご尽力をお願いしたい。

一方、昨年度も学生の活躍には目を見張るものがあった。2020年1月2日、3日の東京箱根間往復大学駅伝競走において、3年ぶり3回目の出場を果たし、往路7位、復路9位、そして総合9位で初のシード権を獲得することができた。これにより、本年10月の出雲全日本大学選抜駅伝競走にも初出場が決まるなど、より一層の活躍が期待される。
また、「第31回経済学検定試験(ERE)大学対抗戦」で経済学部理論同好会が3大会連続14回目の日本一を獲得した。また令和元年司法試験に16名が合格し、合格率は私大6位であった。そのほかにも、各学部の様々なゼミが、各種ビジネスコンテストで優秀賞を受賞するなど学生の活躍があり、さらに数多くの国際会議や大会、資格試験や進路、地域貢献等々、学生たちは日頃の活動成果を、多くの分野で発揮することができた。これらの努力に対し、心からの敬意を表したい。

さて、本年度は、次なる50年を目指し、「価値創造を実践する『世界市民』を育む大学」との大学像を掲げ、創価大学将来構想「Soka University Grand Design 2030」を策定する。また本年は昨年4月に発表した「創立50周年記念事業」の一環として、秋には世界の各国から研究者が集まり、創立者の思想・哲学・教育などについて研究発表する「第11回池田大作思想国際学術シンポジウム」を開催する予定である。本年度、創立50周年に関連する事業を着実に実施してまいりたい。
創造的世界市民を育成する大学を目指して、創立50周年へのスタートとなる2020年を希望溢れる充実した一年にしていくためにも、教職員・学生の皆様のこれまで以上のご協力とご理解を念願して、本年度の学長ヴィジョンとする。
1.教学マネジメント
(1) 教育の質保証への取り組み強化
昨年度、教育の質保証のPDCAサイクルを推進する組織として内部質保証推進委員会を設置し、教学情報を分析するIR室と協力した取り組みを開始した。大学全体、各学部・研究科で実施中の学生参加型の点検・評価サイクルを強化していく。さらに第3期認証評価の申請を明年4月に控えた本年は、全学あげて自己点検・評価を実施する。
(2) 外部評価体制の拡充
大学全体の教育の質にかかわる内容について、これまで大学関係者による外部評価を実施してきた。本年度より地域社会、産業界等の代表を加えた外部評価体制を築き、ディプロマ・ポリシー等の三つのポリシーを含めた本学の教育について、幅広い視点から評価を受けて教育改善に努める。
2.教育戦略
(1) データサイエンス教育の進展
Society5.0に対応した文理融合教育の開発が叫ばれている。本学としても昨年度に「データサイエンス副専攻」を開設したが、2019年度入学生が2年次となる本年度は、副専攻への登録がスタートする。新科目の設置、副専攻対象科目の拡充などの体制を整えて、本年度の本格開始を進める。
(2) 新たな教育課程の充実
法学部・法科大学院連携課程が本年度よりスタートする。また教育学部においては、公認心理師、社会教育士の課程がスタートする。いずれも社会のニーズを反映した課程となる。大学院研究科においても、工学研究科が理工学研究科となってあらたに生命理学専攻がスタートする。ここでは理学の修士・博士の学位が取得可能となる。
(3) AP事業の継承・発展
昨年度終了した大学教育再生加速プログラム(AP)事業の継承・発展を行う。具体的には学生による学びの振り返りと自己評価、その振り返りに基づいた教員側の授業改善と学部・学科レベルのカリキュラム改善のアクションプランを作成・実施する。また教員によるティーチング・ポートフォリオ作成の啓発・実施を進める。
(4) 学生の文章力向上に向けての取り組み
初年次の「学術文章作法」によるトレーニングが、その後の年次でのレポートや卒論といった学術的文章の作成に向けては、なお改善を進める必要がある。そのためにレポートの課題設定や評価方法の改善、ジュニアペーパーの充実などの対策を進める。
(5) 入試制度改革
本年度は大学入学共通テストの実施をはじめとする新制度入試の初年度である。新制度が求める多面的総合的評価に対応するため、本学ではこれまで検討を重ねてきたとおり、全ての入試において主体性評価を行う。また新たに記述式問題を取り入れた筆記試験を行うなど、これまで以上に思考力・表現力を問うことで、本学のアドミッションズ・ポリシーに合致した学生の入学を図る。
3.研究活動
(1) 研究基盤の強化
研究資源の把握および研究活動を学外に広く発信することを目的に、国の研究業績システムである「researchmap」への登録を強化する。研究環境の整備については、公的研究費等を獲得した際に配分される「間接経費」の使途について、効果的に活用できるよう検討する。また、学内事務手続きの簡略化や学内研究推進制度の改善を行い、研究時間確保に向けた施策を推進する。
(2) 競争的資金獲得強化のための支援制度の拡充
科学研究費助成事業(科研費)をはじめとする競争的資金の採択件数および金額の増加を目指し、若手研究者および外国人研究者へのサポート体制の充実、大型研究種目への申請サポートの強化を行う。また、これまでの採択実績の分析から、研究者への個別相談を強化する。
(3) 国際競争力の強化
国際学術論文の増加を目的として実施している「英語論文対策講座」や、「校閲料・翻訳料・掲載料補助制度」等の効果を検証し、制度の改善を図る。また、学内の国際学術論文執筆へのマインドを向上させる施策を検討する。さらに、本学の特色ある研究として、世界各地で推進している研究プロジェクトを加速させ、研究成果の幅広い普及に繋げていく。
(4) 重点研究の推進
本学の強みである研究領域・テーマについて、重点的に支援する体制を構築する。また、持続可能なグローバル目標であるSDGsの達成に向けた研究テーマを創出するための仕組みづくりを行う。
(5) 適正な研究活動の推進
研究者の研究倫理意識の向上を図り、研究活動における不正行為および研究費の不正使用を防止すべく、これまで実施してきた研究倫理教育およびコンプライアンス教育の実施方法を見直し、e-learning教材等を活用し、実効性のある取り組みを行う。特に、大学院生に対しては、研究者倫理に関する規範意識の徹底を目的として、授業科目等で同教育を受講できるよう体制整備を行う。
(6) 創立者の思想・実践および創価教育に関する研究を推進
池田大作記念創価教育研究所への改組を契機として、創立者の思想・実践および創価教育を、より広く学術的に論ずる国際的拠点を構築する。2020年秋には、「第11回池田大作思想国際学術シンポジウム」を創価大学で開催する。さらに、創立者の思想・実践、および創価教育の実践の記録を体系的に収集・整理・保存し、研究資料としての活用を図っていく。
4.学生支援の充実
(1) 新たな奨学金制度へ
本年度より国の高等教育段階における修学支援新制度が導入され、非課税またはそれに準ずる世帯の学生に対し、新たな経済支援が開始される。これまで本学独自の奨学金制度で採用になった学生も同制度の支援対象となることが見込まれる。これに加えて、本学としては国の新制度の対象とならないが、経済支援を必要としている学生に対して、経済支援をできるよう新たな奨学金制度を展開し、経済支援の裾野を広げる。
また海外からの留学生に対しても、これまでと同様に充実した奨学金制度を継続し、安心して修学できる環境を維持する。
(2) 学生寮のさらなる充実
日本人学生と留学生が共同生活を通して相互理解を深め、国際社会で活躍する人材を育む国際学生寮は、本年度から「サンフラワーホール」が新たな国際学生寮となり、「滝山国際寮」、「万葉国際寮」、「創春寮」と合わせて4寮の充実した体制となった。国際学生寮に導入しているRA(レジデント・アシスタント)制度は毎年約2倍の応募倍率となり、新入生・留学生の学習・生活サポートに注力している。他の各寮では、教職員による寮アドバイザー制度を活用し、学習・生活サポートのさらなる充実を目指す。
(3) 適切な障害学生支援の提供と環境整備
本学では、ノートテイクサービスの提供やキャンパスのバリアフリー化などをはじめ、障害学生の修学支援と学生生活支援に努めてきた。本年度は、障害学生支援検討委員会を設置し、障害学生に対する支援方針や教職員対応要領の策定の検討、支援フローの明確化、学生が相談しやすい環境整備の検討など、より適切な障害学生支援の提供を目指す。
(4) キャリアサポートの強化
昨年度より、早期化するインターンシップに対応するため、キャリアビジョンⅡの履修年次を3年次春学期に変更した。さらに本年度は、開講コマ数を3コマから7コマに拡大し、1コマ当たりの履修人数を適正化することで、きめ細かく早期からの就活準備に取り組めるよう強化する。また、学生がキャリアセンターをさらに有効利用できるよう、面談予約のWEB申し込み化など、ITを活用した取り組みでサービスの充実を目指す。
(5) 留学生へのキャリアサポートのさらなる充実
昨年度は、留学生のキャリア科目の開講や日本語と英語による夏季インターンシップの開講等、留学生へのキャリアサポートを整備してきた。本年度は、さらに多くの留学生の就業観や就業力の養成を図るため、夏季休業期間中に民間企業とタイアップした短期集中課題解決型インターンシップを学内で実施していく。
5.国際戦略
(1) 「スーパーグローバル大学創成支援」の第2回中間評価に向けて
中間評価(2回目)はグローバルコアセンターを中心とした全学的な取り組みにより、ほぼ数値目標の達成を展望できるところにあったが、世界での新型コロナウイルスの感染などにより、派遣・受け入れの留学状況が変化する事態が発生している。ただこうした事態への危機管理を通じて、グローバル化により惹起する諸課題に対応する大学のガバナンスの真価が問われていることも深く自覚し、教職学で問題意識を共有化して臨んでいく。
中間評価の観点として「大学のロジックモデル[各大学の構想(事業目的)の実現に至るまでの因果関係の仮説を体系的に図示したモデル図]における初期アウトカムと関連付けて評価を行う。」とされていることに留意し、例えば「留学経験が学生の成長にどのように反映されるか」などアウトカムに基づき、本学の取り組みの成果を報告したい。
(2) 留学・学習成果の分析(BEVI-j)
上記の留学経験を測定・評価するのがBEVI-jである。本年度はこれを本格的に運用する。海外長期研修、短期研修、インターン、ボランティアの各プログラムの実施前と実施後にテストを行い、これらのデータを集積、分析してよりよい留学プログラムの形成に役立てていく。
(3) SDGsに関する取り組みと「THE University Impact Rankings」
「THE University Impact Rankings 2019」で世界101-200位にランクインしたことはSDGsに関する取り組みもまたグローバル化をけん引する指標の一つとして評価されることを示した。昨年発足した「創価大学SDGs推進センター」での取り組みは、学生の参加もあり、全学的な取り組みへと進化しつつある。身近な脱プラや紙ごみの削減など、学生が積極的に参加していることをやがて地球規模での問題解決へのアプローチにいたる世界市民の育成に資するものと歓迎したい。
(4) 創立50周年記念事業としての国際戦略
創立50周年記念事業では「世界市民教育の拠点を構築する」等の事業を発表し、2020年4月から寄付募集を開始する。この寄付事業では、その一部をスーパーグローバル大学創成支援事業の基金化に使わせていただき、自走計画の財政的基盤を整えることになっている。これまでもスーパーグローバル大学創成支援寄付事業に多大なご貢献をいただいている全国の創友会・会友会をはじめ支援していただいている皆様に感謝申し上げるとともに、そのご期待に今後とも誠実にお応えしていきたい。
6.通信教育部の取り組み
(1) メディア授業の拡充
WEB上で受講できる「メディア授業(オンデマンド)科目」を、経済・法・教育学部の専門科目を中心に、昨年度の20科目から本年度には12科目を新たに増設し、32科目の開講とする。これにより、経済・法・教育学部では、卒業に必要なスクーリング単位をメディア授業で修得することが可能となる。
また、最終試験を含め、スマートフォンやタブレットでも受講可能となる。メディア授業(スクーリング)では、一部科目に字幕を設定する等、より学習しやすい環境となる。
(2) オンラインガイダンスを実施
新入生ガイダンスや履修ガイダンス等、各地方会場で実施してきた各種ガイダンスを同時参加できるオンラインでも開催する。スマートフォンやタブレット等からもインターネット環境があれば参加でき、双方向での質疑も可能であり、学習に不安のある新入生等の学生の活用が期待される。
(3) 社会教育士の取得
行政のみならず、NPOや民間企業、地域社会での社会教育活動に携わる役割を期待されて新設された「社会教育士」の称号について、取得を可能とする。社会教育主事任用資格と併せて取得することができるので、活躍の場を大きく広げることができる。
(4) 都道府県別の学習会の支援強化
これまで、ICTを活用して自宅でも学べる学習環境の拡充・整備を進めてきたが、本学の通信教育部で学ぶ大きな魅力の一つである「学友との交流」の場として、都道府県別の学生組織である
「光友会」の学習会を支援する取り組みを強化していく。一人で学ぶことの多い通信教育において、学生を孤立させることなく、学友をつくり、切磋琢磨し、励まし合いながら、学ぶことができる環境としていく。
 

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2019年度 創価大学学長ヴィジョン
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