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学長ヴィジョン
1998年4月に第1回目を発表して以来、毎年度のはじめに学長ヴィジョンを発表しています。
このヴィジョンは、本学の中長期計画である「Soka University Grand Design 2021-2030」を推進するための単年度のアクションプランになります。毎年度の達成・実現度を年度末に総括し、その過程で、次年度の学長ヴィジョンの策定に入るというサイクルができあがっており、大学運営の骨格をなしています。また、自己点検・評価の一環としての役割も担っています。
このヴィジョンは、本学の中長期計画である「Soka University Grand Design 2021-2030」を推進するための単年度のアクションプランになります。毎年度の達成・実現度を年度末に総括し、その過程で、次年度の学長ヴィジョンの策定に入るというサイクルができあがっており、大学運営の骨格をなしています。また、自己点検・評価の一環としての役割も担っています。
2022年度 創価大学学長ヴィジョン
- 前文
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このたび馬場善久前学長のあとを受け、学長に就任することとなった。創価大学ほど教職員や学生が一体となって真剣に大学建設に取り組んでいる大学はない。本学の新たな歴史を開拓するため、教職員、卒業生、また支援者の方々、そして何よりも学生の皆さんと力を合わせて、「Soka University Grand Design 2021-2030」が掲げる目標の実現に全力を尽くす決意である。本学が直面するひとつひとつの課題に対し、解決への取り組みを果敢に実行することを目指し、新任の抱負として本年度の学長ヴィジョンを発表する。
本学は昨年度に創立50周年を迎え、次の50年へ向けてスタートを切った。2020年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた1年であったが、学生、教職員の協力のもと、教育研究をたゆまず継続し、大きな成果を上げることができた。
教育においてはコロナ対策を取りながらオンラインも交えて十分な教育を提供し、その取り組みを通して通信教育部がeラーニングアワードの「オンライン授業支援特別部門賞」を受賞した。研究面では、エチオピアの大学との国際共同研究「SATREPS-EARTHプロジェクト」がスタート。また糖鎖生命システム融合研究所が参画する「ヒューマングライコームプロジェクト」に関する覚書が締結された。さらに、アフリカ・ケニアのナイロビ大学の教育棟内に「創価大学ナイロビ事務所」を開設、本学の国際化にさらなる拠点を加えることができた。
一方、学生の活躍にも目覚ましいものがあった。令和3年司法試験に12名が合格し、10名以上合格した私立大学の中で合格率5位を記録。またキャンパスベンチャーグランプリ東京大会で大賞を受賞、さらに「RoboCup Asia-Pacific 2021 Aichi Japan」で優勝するなど、数々のコンテストで優秀な成績を収めた。クラブ活動では、駅伝部が第98回東京箱根間往復大学駅伝競走で7位に入賞、3年連続でシード権を獲得した。またパイオニア吹奏楽団が3大会連続で全国大会に出場し、銀賞を獲得した。さらに地域貢献活動でも文学部インターゼミ桑都プロジェクトが「シュリーマンでまちおこし」事業を展開し話題となった。本年度も多彩な分野で学生の活躍を期待したい。
「創立50周年記念事業」も予定通り盛大に行われた。昨年4月には『創価大学50年の歴史』を出版、その寄稿文で創立者は、「継承すべき本学の宝」として1.「『人間教育』の尽きることなき慈愛の水脈」、2.「いかなる苦難も勝ち越えゆく『創造的生命』の太陽」、3.「人類を結ぶ『地球民族主義』のネットワーク」の3項目を挙げてくださった。10月には本部棟エントランスホールにて創立50周年記念展「創価大学の歴史」がオープン、本学の人間教育の歴史を伝える展示となっている。
昨年6月5日から14日まで「世界市民教育」をテーマに「価値創造×SDGs」シリアルイベントを開催、また10月23日、24日には「第11回池田大作思想国際学術シンポジウム」が各国をオンラインで繋ぎ盛大に開催された。
国際的評価としては、2020年度にランクインしたQSアジア大学ランキングにおいて、特に本学の国際性が高く評価され、総合351~400位(国内58位タイ)に上昇することができた。
国内では本学は昨年度、大学基準協会による3回目の認証評価を受審し、高い評価を得ることができた。本学の内部質保証体制には、いまだ改善すべき面もあるが、「学位授与方針」「教育課程編成・実施方針」「入学者受け入れ方針」の3つのポリシーを基本に不断の改革を進め、IR室を中心にデジタル情報を収集・活用しながら、教育・研究活動を改善するサイクルを着実に確立したい。
さて、本学は2030年に向けた次の10年を目指す新たな中長期計画「Soka University Grand Design 2021-2030」の取り組みを開始した。本学が人間教育の世界的拠点としてさらに飛躍的な発展を遂げられるよう、各項目を着実に遂行してまいりたい。
同計画では「価値創造を実践する『世界市民』を育む大学」とのテーマのもと、教育・研究・SDGs・ダイバーシティという4つの分野で多くの目標を掲げているが、中でも「世界市民教育」は大変重要な意味を持っている。国家間・民族間の分断が進む現在の世界にあって、創価教育は、青少年の可能性を開き平和な未来を実現する教育として、世界各地で注目され待望されている。牧口常三郎先生を源流とする創価教育の「創価」を冠する本学には、世界市民教育において世界をリードしていく使命がある。そのために、池田大作記念創価教育研究所や新たに開設された大学院教育学研究科を中心に国際共同研究を積極的に推進し、創価教育の学問的価値を確立するとともに、人間教育の世界的拠点として、有為な世界市民を数多く輩出してまいりたい。
文部科学省の大学入試改革に合わせて導入した総合型選抜「PASCAL入試」は、アクティブラーニングの手法を取り入れ、大学での学びへの資質を測定する新しい入試として注目を集めている。本年度は「PASCAL入試」の枠を150名へと拡大するとともに、創造的世界市民としての高い資質を持った受験生をより多く入学させるため、早い段階から高校生たちに本学の教育理念を理解させる育成型の「チャレンジプログラム」を導入し、志願者の増加をはかりたい。
本学は創立以来「学生第一」「学生のための大学」を標榜してきた。全学協議会に代表される学生参加の大学運営は、現在も本学の誇るべき特徴であり、認証評価においても高く評価された。本学に集い合った学生たちは、人間教育の慈愛の中で、ひとりも漏れることなく持てる力を最大限に発揮し、「創造的生命」を開花させてもらいたい。そうした世界市民を陸続と世に送り出すことにより、創立者が示された3つの宝を大きく発展させる飛躍の1年としてまいりたい。
- 1.教育
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(1)世界市民を育むカリキュラムの充実
本年度より共通科目と看護学部が新しいカリキュラムでスタートする。共通科目では、創立の精神を学ぶ科目を充実させるとともに、世界市民教育科目群を「平和・人権・環境・開発」と「サービスラーニング・リーダーシップ科目」に分けて学生の履修に役立てるようにする。他の7学部は、明年度からの新しいカリキュラムの準備にあてる。さらに、世界市民教育という観点から関連科目を体系化したカリキュラムマップを作成する。
(2)SDGsを推進する教育の展開
本年度のシラバスより、科目とSDGs17項目との関連性について記載している。学生がSDGsとの結びつきが強い科目を知り、計画的に履修できるようにするため、カリキュラムマップづくりも行う。明年度からのSDGs副専攻化に向けて各学部代表者からなるワーキング・グループで検討を進める。
(3)データサイエンス教育の体系化
本年度より共通科目に「数理・データサイエンス・自然科目群」を設け、「データサイエンス入門」の全学必修化を行う。また、昨年度に文部科学省が推進する「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」に本学が認定されたことを受けて、データサイエンス副専攻を軸に、入門レベルからデータを活用した演習レベルまで学生が段階的に学んでいけるような仕組みをつくる。
(4)教育力向上と学生の成長を目指した取り組み
昨年度より3か年計画で全学展開しているティーチング・ポートフォリオを推進し、教員の授業の振り返りと教育力向上に取り組む。併せてティーチング・ポートフォリオの作成を通じて見えてくる各教員の教育課題を把握・検討し、学部として教育力向上に努める。また、学生による学習ポートフォリオや「学びの集大成」についても、学修成果の可視化を進める意味から、学部ごとに活用を推進する。
(5)ディプロマ・ポリシーとアセスメント指標の見直し
全学と学部・研究科のディプロマ・ポリシーを見直し、学生の意見を踏まえた明快な表現にする。これに伴い学修成果の達成度を測定するアセスメント指標についても見直していく。また、本学として認証評価を起点とした自己点検サイクルを確立し、全学をあげてさらなる教育改善に取り組んでいく。
- 2.研究
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(1)重点研究の推進
特色ある優れた研究や、SDGs達成に貢献する学際的な研究を支援する「創価大学重点研究推進プロジェクト」を新設し、本学における重点研究テーマを創出することを目指す。また、国際学術論文の増加および競争的研究費の獲得の中核拠点として、「創価大学重点研究拠点制度」を新設し、これら独創的かつ先端的な研究を推進する研究施設を支援する枠組みを整備する。その他、本学の研究活動を学内外に広く発信し、研究者間の交流を活発化させることを目指して、国の研究業績システムである「researchmap」と、本学ホームページや教員業績システム等の連携を強化する。
(2)国際競争力の強化
国内外の研究機関と共同で進めている大型研究プロジェクトを加速させ、研究成果の幅広い普及に繋げ、国際的評価を高める。また、「Soka University Grand Design 2021-2030」で掲げた、研究者ネットワークの組織化を目指した「Soka University Fellow(仮称)制度の創設」や、海外で実績のある研究者を招聘する「客員教員受け入れによる国際共同研究支援」について、各制度の実施に向けた協議を推進する。
(3)外部資金獲得の強化
研究の大型化を促すため、科研費の大型種目に応募した研究者に対して助成する制度を新設する。また、戦略的な競争的研究費の獲得を目指して、セミナーの充実や、申請書類のチェックを強化するなどの機能強化を行う。また、競争的研究費に係る国の制度改善への対応を万全に行い、研究者が意欲的にこれらの対象事業に応募できる環境整備を行う。その他、文系分野の研究者や研究組織が、中型・大型の研究費に積極的に応募できるよう、制度設計などの環境整備を行う。
(4)研究基盤の強化
本年度より実施している個人研究費の算定基準および傾斜配分制度等の点検・見直しを行い、実効性を高める。また、研究時間の確保に向けては、導入を検討しているURA(リサーチ・アドミニストレーター)について、本学の研究環境に応じた採用準備を行う。さらに、研究データの管理・利活用についての体制整備を進める。
(5)適正な研究活動の推進
研究活動における不正行為を防止すべく、全専任教員に対し、定期的に研究倫理教育教材「eAPRIN」の受講を促し、受講確認を行う。また、研究者倫理に関する規範意識の養成を目的として、本年4月より博士前期課程ならびに修士課程の全大学院生(専門職大学院を除く)に対するeラーニング教材を用いた研究倫理教育の必修科目を導入した。同時に、コンプライアンス教育の受講対象者を再確認し、学内における研究費不正使用防止に関する啓発活動を強化していく。
(6)創立者の思想・実践および創価教育に関する研究を推進
池田大作記念創価教育研究所は、創立者の思想・実践および創価教育の学術的研究を推進するために、以下の事業を推進する。1.「第1回 世界市民教育シンポジウム(テーマ:“Restoring Learning to Daily Living: Global Citizenship and John Dewey”)の開催」、2.「世界市民教育に関する国際共同研究の推進」、3.「創価教育に関する刊行物の発刊のための翻訳等の推進」、4.「創立者の語らいポータル構築の準備」。さらに、創立者の思想・実践、および創価教育の実践の記録を体系的に収集・整理・保存し、研究資料としての活用をはかっていく。
- 3.SDGs
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(1)全学SDGsプロジェクトの推進
SDGs達成の推進に向けて、貢献度の高い取り組みや将来有望な取り組みを「創価大学SDGsグッドプラクティス」として採択し、支援を行う。また、学内のSDGsに関する認知度等を調査する「SDGsアンケート」の実施やSDGs達成に向けた取り組みについて、本学のホームページや広報誌「SUN」、「SDGsレポート」などで学内外に公表する。
(2)“SDGs目標達成に貢献する人材”の育成と、“SDGs学生・専門家・実務家ネットワーク”の構築と拡大
SDGs達成に貢献する人材ネットワーク・ロスター制度の構築を目指して、具体的な運用方法など、実現化に向けた検討・体制整備を行う。また、SDGs達成に貢献する人材の育成、専門家・実務家とのネットワークの構築を目的に、「第2回SDGs達成に向けた実践者と学生・教員の対話・ネットワーキング会合」を開催する。
(3)国連諸機関との連携強化
国連開発計画(UNDP)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連食糧農業機関(FAO)、国際熱帯木材機関(ITTO)でのインターンシップ事業や平和講座の実施など協力事業を推進する。また、難民高等教育プログラム(RHEP)の受け入れおよび修了者の進路支援を推進する。さらに本学平和問題研究所で難民研究プロジェクトを発足させ、UNHCRと連携しながら研究会などを開催する。ユネスコスクール支援委員会の活動としては、海外のユネスコスクールとの連携を強化するとともに、地域に開いたSDGs講座等を定期的に開催し、ユネスコスクール関東ブロック大会を本学で開催する。そして、情報集約と発信の強化として、国連アカデミックインパクトのSDGs推進活動の情報を集約するためのプラットフォーム構築を進めていく。
(4)キャンパス運営におけるSDGs主流化・エネルギー計画の策定
昨年4月に気候非常事態宣言を発出し、2050年のカーボンニュートラルキャンパスを目指すこととなった。本年度は2025年の策定を目指し、カーボンニュートラル化への取り組み方針や達成へ向けたロードマップの検討を進める。また、地域の自治体や企業等と連携した本学の取り組みも検討する。
- 4.ダイバーシティ
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(1)グローバル化の推進
本年度は国内外諸機関と連携して、「価値創造×SDGs」Week(6月)、在京南部アフリカ諸国外交団(SADC)による連続講座(春学期・共通科目「地域研究B」)、「世界市民教育シンポジウム」(10月)等を予定している。オンラインによる日本語教育については、海外在住の学生への授業等のほか、海外交流校からのニーズにも応え提供していきたい。
(2)スーパーグローバル大学創成支援事業の継続・発展
2回目の中間評価で「S」を獲得したのを受け、9年目となる本年度は、次の最終年度に向け、外国人学生の募集・受け入れや本学学生の派遣について、オンラインを活用した「国際協働オンライン学習プログラム(COIL)」の活用などにより積極的に教育交流を推進する。
このCOILは文部科学省が昨年度に形成し、本学も複数のプロジェクトに参画している「大学の国際化促進フォーラム」のプロジェクトにおいて、関西大学と共にモジュール(科目群)の提供を開始した。また、プロジェクト「国際交流プログラムの効果の客観的評価テスト開発及びその普及」では、本学は連携校として採択(幹事校・広島大学)され、今後国内をはじめ各大学・諸機関と幅広く連携し展開していく予定である。
(3)男女共同参画の取り組み
これまで本学の男女共同参画事業の推進および研究力の増強のため、「創価大学男女共同参画推進センター」においてさまざまな取り組みを行ってきた。今後これを発展的に「創価大学ダイバーシティ・インクルージョン推進センター」に改組する。より多様性豊かなキャンパス環境の構築に取り組んでいきたい。
(4)社会人等の受け入れ推進
各種調査等によると、産業界は大学が提供する社会人向けの高度な教育に期待を寄せているといわれている。本学においては通信教育部で培ったオンライン教育の成果を生かし、「日本語教育」「データサイエンス」「AI」など、これからの社会で必要とされるプログラムを検討し、リカレント教育の体制を整える。
2021年度以前の創価大学教育ヴィジョン
- 2021年度 創価大学学長ヴィジョン
- 2020年度 創価大学学長ヴィジョン
- 2019年度 創価大学学長ヴィジョン
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- 2017年度 創価大学教育ヴィジョン
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- 2013年度 創価大学教育ヴィジョン
- 2012年度 創価大学教育ヴィジョン
- 2011年度 創価大学教育ヴィジョン
- 2010年度 創価大学教育ヴィジョン