「まがり」プロジェクトとは、八王子で安心できる居場所づくりを通じ、生きづらさを感じる若者を支援する取り組みです。このプロジェクトを企画・運営しているのが、創価大学文学部西川ハンナ准教授のゼミ生を中心とした学生たちです。近所付き合いが減少するなど、人とのつながりが薄れ、自分の居場所がないと感じる若者が増えている今、住居である家や学校以外の「サードプレイス」となる居場所のニーズが高まっています。このニーズに応えようと、学園都市・八王子において、学生が安心できる居場所づくりに取り組む本プロジェクトは、本年(2018年)3月から、八王子駅前にあるフードバンク八王子ワークスの一部屋を“間借り”し、自由に語り合える居場所の提供をスタートしました。
6月には、大学コンソーシアム八王子の「学生企画事業補助金」に採択され、地域や行政からも注目されています。今回は、学生の視点から、生きづらさを感じる学生の居場所づくりに挑戦する「まがり」プロジェクトに込めた思いと取り組みについて、中心者の原さんらに話を聞きました。
6月には、大学コンソーシアム八王子の「学生企画事業補助金」に採択され、地域や行政からも注目されています。今回は、学生の視点から、生きづらさを感じる学生の居場所づくりに挑戦する「まがり」プロジェクトに込めた思いと取り組みについて、中心者の原さんらに話を聞きました。
今日はよろしくお願いします!まずは、「まがり」プロジェクトでの活動を教えてください。
原さん:私たちの取り組む「まがり」プロジェクトでは、生きづらさを感じる学生に対して、“居場所”や“社会とつながるきっかけ”をつくることを大きな柱として活動しています。家というファーストプレイスや、学校というセカンドプレイスの中に居心地の悪さがあると、人は生きづらさを感じることがあります。それでも、他に居場所があれば軽減することもあると思うのですが、自分で作ろうとしないと“サードプレイス”という安心できる場所がなかなかありません。こういった状況の中で、学生にも生きづらさを感じている人がいるのではないかと思いました。学園都市といわれる八王子で、学生のための居場所づくりができないかと考え、安心して自由に語りあえる語り場「まがり」を企画し、これまで3回開催してきました。
間野さん:語り場は「まがり」の活動の一部で、他にもどうしたら居場所づくりができるか、皆で考えながら取り組んでいます。例えば、社会とつながるきっかけづくりとして、八王子で開催されている古本まつりや七夕まつりに参加し、地域の人たちと交流しています。まずは、僕たちが年齢を問わずいろんな人とのつながりを持ち、信頼してもらうことで、学生と地域の人たちを結ぶネットワークづくりにつながるのではないかと考えています。実際、八王子を盛り上げようと取り組まれている地域の方も、若者の力を必要としてくださっていて、イベントへの参加をとおして相乗効果があると感じています。
原さん:私自身もそうですが、創価大学には地方から上京した学生が多くいます。せっかく4年間八王子にいるのだから、八王子のことを知っていきたいと思い、学生の視点から八王子市内に居心地の良い場所を見つける「まち歩きツアー」も開催しました。最終的には、語り場、イベント参加、まち歩きツアーの3つの取り組みから、八王子にある学生の居場所を紹介できるような冊子を作成し、八王子市内の大学に配布することを目標にしています。
「まがり」プロジェクトをはじめようと思ったきっかけは何でしたか?
丸岡さん:私は、西川先生のゼミ生ではなかったのですが、同じサークルの原さんが、社会福祉を専門とするゼミに入ると突然言いだし、どうしてそう思ったんだろうと、興味を持ったことがきっかけでした。一緒に学んでいく中で、低所得者や心身の障害といった生活上の困難を感じる人たちの問題緩和や解決を目指す社会福祉の取り組みが、悩んでいる人や助けを求めている人に対して与える影響の大きさに気づき、魅力を感じました。
原さん:私は、所属するゼミを選ぶためのオリエンテーションで、西川先生が社会福祉を学問として捉えるだけでなく実践を重視して行動されていること知り、自分も学生のうちに、いろんな経験をしたいと思うようになりました。
藤森さん:具体的に、“居場所づくり”に取り組むきっかけは、西川先生からその概念を教えてもらったことでした。話を聞いて、“居場所づくり”は生きづらさを感じる人たちのサポートという社会福祉の取り組みを、自分たちが実際に行動できるチャンスなんじゃないかと思い、昨年12月頃からみんなで具体的にどういう形が良いか考えていきました。
原さん:私は、所属するゼミを選ぶためのオリエンテーションで、西川先生が社会福祉を学問として捉えるだけでなく実践を重視して行動されていること知り、自分も学生のうちに、いろんな経験をしたいと思うようになりました。
藤森さん:具体的に、“居場所づくり”に取り組むきっかけは、西川先生からその概念を教えてもらったことでした。話を聞いて、“居場所づくり”は生きづらさを感じる人たちのサポートという社会福祉の取り組みを、自分たちが実際に行動できるチャンスなんじゃないかと思い、昨年12月頃からみんなで具体的にどういう形が良いか考えていきました。
間野さん:「子ども食堂」など、居場所づくりにつながる取り組みが増えていますが、それをメインで行うものはあまり多くありません。だからこそ、「居場所づくり」に焦点を当てて、学生の語り場を提供する活動に面白みを感じました。大学でも、例えば創大祭(大学祭)など、多くの学生の熱は高まりますが、中にはその輪からこぼれる人もいます。行事が悪いわけでもなければ、その人が悪いわけでもない。僕自身も1年生のときは、クラブに所属せず、創大祭期間はバイトに明け暮れ、どこか空しさや孤独を感じました。当事者として、大学生活に生きづらさを感じる体験があったからこそ、居場所づくりを目指すようになりました。
原さん:正直はじめは、少し軽い気持ちで語り場「まがり」を開催しましたが、1回目の開催後に西川先生から「大学コンソーシアム八王子の学生企画事業補助金に応募してみない?」と提案があり、より具体的にどうしていけばいいか、何ができるかを考えるようになりました。先生からも「やるからには絶対に採択を目指しましょう!」と言われたので、そこからみんなで毎週4回集まり、1回あたり2~3時間の話し合いを2ヶ月間続け、先程紹介した3つの取り組みを決めていきました。ありがたくも大学コンソーシアム八王子補助金事業の一つに選ばれ、社会的承認をいただけたことで大きな責任も感じますが、だからこそ応援してくださる方々の期待に応えていけるよう、さらに知恵をだしながら取り組んでいきたいと決意しています。
取り組みの一つである語り場「まがり」では、何を行っているのでしょうか?また、開催した感想を教えてください。
間野さん:語り場は、毎月トークテーマを決めて、参加したメンバーで自由に語りあっています。具体的には、メインスピーカーがテーマについて自身の体験などを話し、その後、参加者にも感想を話してもらっています。といっても、参加者には、「語り場」で初めて出会う方もいるので、難しい討議というよりかは、“何を話してもいい”“何でも聞いてもらえる”という雰囲気の中で、自由にしゃべってもらっています(笑)。
藤森さん:前々回のテーマは、「引きこもり」についてでした。実は、僕自身、中学時代に学校に行けない経験がありました。これまで、仲の良い友人にも話していなかったのですが、同じように悩む人の力になれればと、メインスピーカーとして実体験を話しました。すると、みんなが僕の話に耳を傾け、受け止めてくれたんです。その安心感から、どこかでひっかかっていた自分の心が解けて、人とつながること、そして居場所があるってこんなに安心できるんだって、あらためて実感しました。
丸岡さん:実は、私の身近にも同じように悩んでいる人がいて、そのことを冗談まじりに友人と話すことはあっても、私が本当にどう思っているのかを、真剣に話す場所はなかなかありませんでした。でも、藤森くんの話を聞く中で、今まであやふやだった自分の気持ちを確かめることができて、たくさん勇気をもらいました。
藤森さん:前々回のテーマは、「引きこもり」についてでした。実は、僕自身、中学時代に学校に行けない経験がありました。これまで、仲の良い友人にも話していなかったのですが、同じように悩む人の力になれればと、メインスピーカーとして実体験を話しました。すると、みんなが僕の話に耳を傾け、受け止めてくれたんです。その安心感から、どこかでひっかかっていた自分の心が解けて、人とつながること、そして居場所があるってこんなに安心できるんだって、あらためて実感しました。
丸岡さん:実は、私の身近にも同じように悩んでいる人がいて、そのことを冗談まじりに友人と話すことはあっても、私が本当にどう思っているのかを、真剣に話す場所はなかなかありませんでした。でも、藤森くんの話を聞く中で、今まであやふやだった自分の気持ちを確かめることができて、たくさん勇気をもらいました。
これまで開催された「まがり」に参加した人からは、どのような声が寄せられていますか?
原さん:4月に初めて開催した時は、私たち含め5名ほどでしたが、5月からは15名くらい来てくれるようになりました。前回参加してくれた友人は、「みんなの話を聞く姿勢がすごい」と感動してくれました。
間野さん:僕の友人も「ここまで話を聞いてくれる雰囲気は、なかなかないと思う。普段、人には言えないことも、自然と話している自分がいて驚いた」と言ってくれ、傾聴を大事にしている社会福祉の考え方に興味を示してくれました。こうした声を聞き、参加した人が語り場の雰囲気に心地よさを感じることで、まがり自体が居場所になっていくことはもちろん、そこからさらに人と人とのつながりが広がっていってほしいと感じました。
藤森さん:また、学生だけでなく、興味を持ってくださった地域の方々も参加してくださいました。八王子商店の会長や、NPOとして居場所づくりに取り組まれている方、市役所の自立支援を担当している方など、自分たちの活動をオブザーバーのような形で見守ってくださいました。市役所の方には「人の経験を聞くいい機会であり、日常では話せないようなことを話せる、高度な対話の場所になっている」と評価していただくことができました。
間野さん:僕の友人も「ここまで話を聞いてくれる雰囲気は、なかなかないと思う。普段、人には言えないことも、自然と話している自分がいて驚いた」と言ってくれ、傾聴を大事にしている社会福祉の考え方に興味を示してくれました。こうした声を聞き、参加した人が語り場の雰囲気に心地よさを感じることで、まがり自体が居場所になっていくことはもちろん、そこからさらに人と人とのつながりが広がっていってほしいと感じました。
藤森さん:また、学生だけでなく、興味を持ってくださった地域の方々も参加してくださいました。八王子商店の会長や、NPOとして居場所づくりに取り組まれている方、市役所の自立支援を担当している方など、自分たちの活動をオブザーバーのような形で見守ってくださいました。市役所の方には「人の経験を聞くいい機会であり、日常では話せないようなことを話せる、高度な対話の場所になっている」と評価していただくことができました。
プロジェクトに取り組む中で、大変なこともあると思います。どのような点に難しさを感じますか?
原さん:社会福祉の観点から「居場所づくり」に取り組んでいますが、本当に居場所がないと感じている人は、そのことを訴えることができず、一人で悩んでいることが多いのが現状です。居場所を必要としている人と、自分たちの活動をどうつないでいけるかが、本当に難しいです。
間野さん:ただ、僕たちの活動は「居場所づくり」であって、当事者をかき集めたいわけではありません。社会福祉では、単年の事業ではなく、持続が大事であるといわれています。だからこそ、細くても長いつながりを目指し、当事者がいなかったとしても、僕たちが開催し続けるなかで、“待ってくれている人がいる”という安心感を与えていけたらと思っています。
藤森さん:今年始めたばかりで、実績もなければ認知もされていない。本当にゼロからのスタートなので、まだまだ参加者が少ないのも課題です。2人が言うように当事者の参加もそうですが、誰でも参加してもらえる居場所づくりを目指しているので、毎月チラシを作ったり、テーマに興味がありそうな友人に声をかけたり、SNSで告知をしたり、どうしたら参加してもらえるかと試行錯誤しています。
丸岡さん:つながりがない分、理想的な活動に手が届かないところもあります。でも、今ここにいる私たちから身近にいる人とつながりを持ち、輪を広げていきたいと思います。自分の人生においても、目の前の友人を大切にすることを心がけているので、このプロジェクトで、そういった活動をさらにしていけることが楽しみです。
間野さん:ただ、僕たちの活動は「居場所づくり」であって、当事者をかき集めたいわけではありません。社会福祉では、単年の事業ではなく、持続が大事であるといわれています。だからこそ、細くても長いつながりを目指し、当事者がいなかったとしても、僕たちが開催し続けるなかで、“待ってくれている人がいる”という安心感を与えていけたらと思っています。
藤森さん:今年始めたばかりで、実績もなければ認知もされていない。本当にゼロからのスタートなので、まだまだ参加者が少ないのも課題です。2人が言うように当事者の参加もそうですが、誰でも参加してもらえる居場所づくりを目指しているので、毎月チラシを作ったり、テーマに興味がありそうな友人に声をかけたり、SNSで告知をしたり、どうしたら参加してもらえるかと試行錯誤しています。
丸岡さん:つながりがない分、理想的な活動に手が届かないところもあります。でも、今ここにいる私たちから身近にいる人とつながりを持ち、輪を広げていきたいと思います。自分の人生においても、目の前の友人を大切にすることを心がけているので、このプロジェクトで、そういった活動をさらにしていけることが楽しみです。
皆さんにとっての「まがり」とは?
間野さん:一言で言えば、僕の「居場所」です!ゼミの一環として始めましたが、知識として学ぶだけではなく、実際にフィールドワーク、コミュニティーソーシャルワークを進める中で、人間として成長できる場になっています。
藤森さん:自信を持てた場所ですね。先程話したとおり、自分の体験を話す機会があって、みんなが僕の話を受け止めてくれたことで、マイナスに感じていた過去を、“経験していてよかった”と初めてプラスに捉えることができました。そういう機会を与えてくれた場所がまがりで、本当にステキな場所だと感じていますし、だからこそ、やりがいもすごくあります。
丸岡さん:私は、自分の価値観の幅を広げられる場所だと思っています!普段関わっている友人の新たな一面を知ることができるし、学生だけでなく社会で活動されている方と出会うことができる。こんな機会はなかなかありません。いろんな人とつながれるからこそ、様々な価値観を知って、自分の視野を広げることができたと思います。
原さん:私にとってのまがりは、成長の場であり、やっぱり“居場所”です。それまでの自分は、社会学の授業アンケートで、「疎外感を感じる」とか「居場所がない」といった項目は、いつも丸をつけていたのに、まがりの活動、そしてみんなと出会って180度変わりました。大学コンソーシアム八王子二次審査の諮問会では、厳しい指摘をいただくこともありましたが、このメンバーだからこそ、安心して挑戦できる。この私たちの実感を、これからさらに多くの人に波及し、巻き込んでいきたいと思います。
藤森さん:自信を持てた場所ですね。先程話したとおり、自分の体験を話す機会があって、みんなが僕の話を受け止めてくれたことで、マイナスに感じていた過去を、“経験していてよかった”と初めてプラスに捉えることができました。そういう機会を与えてくれた場所がまがりで、本当にステキな場所だと感じていますし、だからこそ、やりがいもすごくあります。
丸岡さん:私は、自分の価値観の幅を広げられる場所だと思っています!普段関わっている友人の新たな一面を知ることができるし、学生だけでなく社会で活動されている方と出会うことができる。こんな機会はなかなかありません。いろんな人とつながれるからこそ、様々な価値観を知って、自分の視野を広げることができたと思います。
原さん:私にとってのまがりは、成長の場であり、やっぱり“居場所”です。それまでの自分は、社会学の授業アンケートで、「疎外感を感じる」とか「居場所がない」といった項目は、いつも丸をつけていたのに、まがりの活動、そしてみんなと出会って180度変わりました。大学コンソーシアム八王子二次審査の諮問会では、厳しい指摘をいただくこともありましたが、このメンバーだからこそ、安心して挑戦できる。この私たちの実感を、これからさらに多くの人に波及し、巻き込んでいきたいと思います。
最後に今後の意気込みを教えてください!
間野さん:まだまだ始まったばかりで、上手くいかないこともありますが、まがりが“誰でも来れる、敷居の低い、安心できるあったかい場所”になるよう、これからも取り組んでいきたいと思います。
原さん:今はまだ参加者のほとんどが創大生です。これから学外の方にも参加してもらえたらと思っています。
藤森さん:次回は7月31日(火)、八王子でダンサーとして活動するマシューさんを迎え、「まがり×ダンス」コラボ企画での開催を予定しています。ダンスパフォーマンスの披露に加え、ダンスをとおして感じる仲間の絆などを語ってもらい、参加者にもそれぞれの経験を話していただく予定です。ぜひ多くの皆さんにお立ち寄りいただければと思います!
原さん:今はまだ参加者のほとんどが創大生です。これから学外の方にも参加してもらえたらと思っています。
藤森さん:次回は7月31日(火)、八王子でダンサーとして活動するマシューさんを迎え、「まがり×ダンス」コラボ企画での開催を予定しています。ダンスパフォーマンスの披露に加え、ダンスをとおして感じる仲間の絆などを語ってもらい、参加者にもそれぞれの経験を話していただく予定です。ぜひ多くの皆さんにお立ち寄りいただければと思います!
まがりPROJECT 特別企画「まがり×ダンス」
PROFILE:
はら みか Mika Hara ※写真、右から2番目
[好きな言葉]
「Be yourself. No one can say you're doing it wrong.」
[性格]
押しに弱い
[趣味]
映画鑑賞
[最近読んだ本]
「娼年」石田衣良
まの ふみや Fumiya Mano ※写真、右から3番目
[好きな言葉]
「逆境を笑え」
[性格]
負けず嫌い
[趣味]
野球
[最近読んだ本]
「心を整える」長谷部誠
ふじもり しんじ Shinji Fujimori ※写真、右から4番目
[好きな言葉]
「ありがとう」
[性格]
前向き
[趣味]
温泉に行くこと
[最近読んだ本]
「カエルの楽園」百田尚樹
まるおか ふう Fuu Maruoka ※写真、一番右
[好きな言葉]
「ありのままの自分で生きる」
[性格]
負けず嫌い
[趣味]
気に入ったインテリアを見ること、美術館巡り、ジェンダーに関する勉強
[最近読んだ本]
「GID(性同一性障害)学会雑誌10号」
ページ公開日:2018年07月27日