創価大学では累計8,000名を超える教員を輩出。2008年には教職大学院を設置し、以来15年間一貫して「教育は子どもの幸福のため」という信念を持った教育者を輩出し続けてきました。
2022年度より東京都の公立中学校で数学を教えながら、特別支援学級の副担任として生徒の支援にあたっている星原律さんもその一人です。創価大学理工学部を卒業後、創価大学教職大学院に進学し、コロナ禍でも変化を成長のチャンスに変え実力を磨きました。
教育現場で奮闘する星原さんに、教職大学院での学びと教員を目指した原点について語っていただきました。
2022年度より東京都の公立中学校で数学を教えながら、特別支援学級の副担任として生徒の支援にあたっている星原律さんもその一人です。創価大学理工学部を卒業後、創価大学教職大学院に進学し、コロナ禍でも変化を成長のチャンスに変え実力を磨きました。
教育現場で奮闘する星原さんに、教職大学院での学びと教員を目指した原点について語っていただきました。
現在のお仕事について教えてください。
現在、都内の公立中学校で数学の担当と特別支援学級の副担任をしています。私が担任するクラスの生徒たちは、通常の授業に参加することが難しいのですが、その理由は一人ひとり異なります。ある生徒は「数学はできるけど漢字が読めない」、他の生徒は「足し算はできるけど引き算ができない」などさまざまです。そのため、漢字にフリガナを付けたり、足し算から引き算に移るときに「ここから新しいことをやるよ」と一言前置きし考えを整理するなど、小さな工夫を重ねています。それでも上手くいかないこともありますが、一人ひとりの課題に合わせた授業を心がけることで、生徒たちは以前よりも授業に集中してくれるようになったと思います。
特別支援学級の生徒たちは、できることよりもできないことの方に意識を奪われがちで、できないことへの焦りやもどかしさで落ち着きを失い、授業に参加できなくなってしまうことが少なくありません。ですので、一人ひとりの課題に合わせた指導をすることで、できることを少しずつ増やしてあげて、自分に自信を持てるよう、可能性の“芽”を育てながら、日々、真剣勝負で生徒と関わっています。
できないことばかりに捉われず、自分ができること、得意なこと、好きなことを1つでも見つけられたら、その生徒が進んでいく“道”を見つけるきっかけになっていくのではないかと思っています。
特別支援学級の生徒たちは、できることよりもできないことの方に意識を奪われがちで、できないことへの焦りやもどかしさで落ち着きを失い、授業に参加できなくなってしまうことが少なくありません。ですので、一人ひとりの課題に合わせた指導をすることで、できることを少しずつ増やしてあげて、自分に自信を持てるよう、可能性の“芽”を育てながら、日々、真剣勝負で生徒と関わっています。
できないことばかりに捉われず、自分ができること、得意なこと、好きなことを1つでも見つけられたら、その生徒が進んでいく“道”を見つけるきっかけになっていくのではないかと思っています。
数学の先生を目指そうと思ったきっかけは何でしたか?
私は小さい頃から教員になりたいと思っていたのですが、「何の先生になるか」は決まっていませんでした。
私が中学2年生の時、英語の先生から「苦手は自分を大きく成長させるチャンスなんだよ」と励まされました。当時、私は数学が苦手だなと感じていましたが、その励ましのおかげで逃げずに向き合うことができ、1年後には得意な科目に変えることができました。もともと苦手だったからこそ、より苦手な子どもの気持ちが分かるのではないかと思い、「自分のターニングポイントになった数学の教師になろう!」と目標を持つことができました。
実は励ましてくれた英語の先生も創価大学出身の先輩だったということが後から分かり、生徒のことを思って言う「一言」が人生を変える力になることを身をもって実感しました。
私が中学2年生の時、英語の先生から「苦手は自分を大きく成長させるチャンスなんだよ」と励まされました。当時、私は数学が苦手だなと感じていましたが、その励ましのおかげで逃げずに向き合うことができ、1年後には得意な科目に変えることができました。もともと苦手だったからこそ、より苦手な子どもの気持ちが分かるのではないかと思い、「自分のターニングポイントになった数学の教師になろう!」と目標を持つことができました。
実は励ましてくれた英語の先生も創価大学出身の先輩だったということが後から分かり、生徒のことを思って言う「一言」が人生を変える力になることを身をもって実感しました。
大学生活について教えてください。
3人きょうだいで、兄も大学生だったので、両親には大きな負担をかけましたが、日本学生支援機構の貸与奨学金の他に、創価大学牧口記念教育基金会学部生奨学金にも採用され、本当に充実した4年間を過ごすことができました。
理工学部では数学教育の専門性を磨くことができました。また、学業と両立しながら、大学行事の運営などにも携わり、誰も見ていないところで努力する大切さを学び、共に活動するなかで、一生涯の友情を築くことができました。創価大学に入学する前は、創立者を遠い存在のように感じていましたが、入学してからは、自分の成長した姿、自分の振る舞いで、創立者のご期待にお応えしたいと思えるようになり、自分の生き方の土台を築くことができたと感じています。
教師になった今、学部での学びや、行事運営の経験も本当に活きています。教師の仕事も授業だけではありません。先を見据え、考えて行動することなど、大学生活すべてに無駄はなかったと実感しています。
教員は、見えないところでの努力がストレートに子どもたちに伝わっていく仕事です。陰での努力で誰にも負けない教員を目指していきたいと思っています。
理工学部では数学教育の専門性を磨くことができました。また、学業と両立しながら、大学行事の運営などにも携わり、誰も見ていないところで努力する大切さを学び、共に活動するなかで、一生涯の友情を築くことができました。創価大学に入学する前は、創立者を遠い存在のように感じていましたが、入学してからは、自分の成長した姿、自分の振る舞いで、創立者のご期待にお応えしたいと思えるようになり、自分の生き方の土台を築くことができたと感じています。
教師になった今、学部での学びや、行事運営の経験も本当に活きています。教師の仕事も授業だけではありません。先を見据え、考えて行動することなど、大学生活すべてに無駄はなかったと実感しています。
教員は、見えないところでの努力がストレートに子どもたちに伝わっていく仕事です。陰での努力で誰にも負けない教員を目指していきたいと思っています。
どうして創価大学教職大学院へ進学しようと思ったのですか?
大学1年生の時から、教職大学院に進学し、学びを深めたいと思っていました。創価大学教職大学院には現役教員の方々が学びに来ていて、ディスカッションを通してさまざまな学びや気づきを得ることができると聞き、魅力を感じました。理工学部での4年間でしっかりと数学教育の専門性を磨き、教職大学院で学級運営の方法や学校組織の在り方などを学びたいと考えていました。
経済面でも心配でしたが、教職大学院生向けの給付奨学金をいただくことで大学院進学を実現できました。
経済面でも心配でしたが、教職大学院生向けの給付奨学金をいただくことで大学院進学を実現できました。
創価大学教職大学院に入学されたときは、ちょうどコロナ禍の始まりでしたね。
念願が叶って入学はできたものの、コロナ禍で授業の開始が1ヶ月ほど遅れ、期待したディスカッションの授業も対面ではなくオンラインになりました。誰も経験したことがない事態にみんなが戸惑いましたが、前例が無いなら自分たちで授業を新たに作っていこうと一致団結して取り組みました。オンラインでのディスカッションでは小・中学校で経験を積んだ先輩教員の方々の貴重なお話を伺うことができ、とても視野が広がりました。
教育の目的はどこまでいっても「子どもの幸福のため」です。創大の教職大学院では、「どうすれば子どもが幸福になれるのか」と、本気で議論します。科目の教え方、学校運営、学級経営、生徒指導など、具体的な事例をあげながら、それぞれの背景を持った「創価教育の探究者」と互いに意見をぶつけあう、本当に刺激的な2年間でした。
他大学の教職大学院に進学した友人と、互いの教職大学院での学びについて情報交換した際、他大学の議論の多くは教育の法律と現場の課題に関するものだと聞きました。創大の教職大学院は「どうすれば子どもが幸福になれるのか」からぶれません。その友人も「やっぱり創大っていいね」と話してくれました。
現在も学校現場では、オンラインを併用して授業を進めています。教室とオンラインの両方に気を配らなければなりませんが、教職大学院でオンラインディスカッションを運営した経験が活きており、先日、授業見学に訪れた教育委員会の方にも評価していただくことができました。
教育の目的はどこまでいっても「子どもの幸福のため」です。創大の教職大学院では、「どうすれば子どもが幸福になれるのか」と、本気で議論します。科目の教え方、学校運営、学級経営、生徒指導など、具体的な事例をあげながら、それぞれの背景を持った「創価教育の探究者」と互いに意見をぶつけあう、本当に刺激的な2年間でした。
他大学の教職大学院に進学した友人と、互いの教職大学院での学びについて情報交換した際、他大学の議論の多くは教育の法律と現場の課題に関するものだと聞きました。創大の教職大学院は「どうすれば子どもが幸福になれるのか」からぶれません。その友人も「やっぱり創大っていいね」と話してくれました。
現在も学校現場では、オンラインを併用して授業を進めています。教室とオンラインの両方に気を配らなければなりませんが、教職大学院でオンラインディスカッションを運営した経験が活きており、先日、授業見学に訪れた教育委員会の方にも評価していただくことができました。
創価大学教職大学院での学びについて教えてください。
創価大学教職大学院には、創立者より頂戴した3つの指針があります。
一、子どもの幸福を目指す慈愛の教育者たれ!
一、生命の尊厳を護り抜く正義の教育者たれ!
一、平和の世界を創造しゆく英知の教育者たれ!
この指針を胸に刻み、学びを深めることができる、本当に充実した2年間でした。教職大学院の学びは「実践と理論の往還」です。大学院で学んだ教育理論を学校現場に出て実践します。何度も実践を振り返り、教育理論を深めていきました。「教えるものこそ学ぶべき」と、必死の思いで鍛錬する日々でした。
一生懸命に考えた授業が、分かりにくかったり、子どもの考えを制限してしまったり、上手くいかないこともたくさんありましたが、そのたびに大学院の学友と熱く語り合いました。
さらに、子ども一人ひとりの家庭環境、友人関係、特性などの理解に努め、真剣勝負で教育について学び、実践しました。これらを通して「子どもの幸福」を目指す教育の難しさを痛感するとともに、実践のなかで子どもの成長や喜びに繋がったときの感動は何ものにも代えがたく、教育者としての原点となっています。
実際に授業をするなかで、たとえ上手くいかなくても、振り返った際に教職大学院で得た学びからその原因を探り当てることができ、よりよい授業をつくっていくアイデアもすぐ思い付きます。もし、教職大学院で学んでいなかったら、すぐに行き詰まっていたかもしれません。
一、子どもの幸福を目指す慈愛の教育者たれ!
一、生命の尊厳を護り抜く正義の教育者たれ!
一、平和の世界を創造しゆく英知の教育者たれ!
この指針を胸に刻み、学びを深めることができる、本当に充実した2年間でした。教職大学院の学びは「実践と理論の往還」です。大学院で学んだ教育理論を学校現場に出て実践します。何度も実践を振り返り、教育理論を深めていきました。「教えるものこそ学ぶべき」と、必死の思いで鍛錬する日々でした。
一生懸命に考えた授業が、分かりにくかったり、子どもの考えを制限してしまったり、上手くいかないこともたくさんありましたが、そのたびに大学院の学友と熱く語り合いました。
さらに、子ども一人ひとりの家庭環境、友人関係、特性などの理解に努め、真剣勝負で教育について学び、実践しました。これらを通して「子どもの幸福」を目指す教育の難しさを痛感するとともに、実践のなかで子どもの成長や喜びに繋がったときの感動は何ものにも代えがたく、教育者としての原点となっています。
実際に授業をするなかで、たとえ上手くいかなくても、振り返った際に教職大学院で得た学びからその原因を探り当てることができ、よりよい授業をつくっていくアイデアもすぐ思い付きます。もし、教職大学院で学んでいなかったら、すぐに行き詰まっていたかもしれません。
そもそも教師になりたいと思ったきっかけは何だったんでしょうか?
私には生まれながらに知的障がいを持った妹がいます。家族全員、妹のことが大好きです。
家族みんなで妹を支えるなかで、妹のできることが増え、通常学級に通うようになったときがありました。しかし、通常学級での授業が始まると、徐々に妹の元気がなくなっていき、ついに「学校に行きたくない」と言うように。そのとき自分が「みんなと同じことがいいことだ」と思いこみ、知らず知らずのうちに、妹を型にはめ込んでいたことに気付かされました。
それからは特別支援学校に通うようになり、親身な先生方に支えられ、できなかったことが少しずつできるようになりました。「学校が楽しい」と妹も家族も笑顔になれました。「子どもの喜びを身近で感じることができる教師は、何て素晴らしい仕事だろう」と感動し、私も教育者を志しました。
今、教壇に立つ中で、生徒と以前の妹の姿が重なります。目の前の生徒にも、妹のように無限の可能性がある。輝ける場所がある。この子が笑顔になれば、みんなが笑顔になれる。そのために自分にできることが必ずあると確信しています。
学校現場は悩みと試行錯誤の連続ですが、今日も目の前の一人の笑顔のために尽くす「創価教育の実践者」として挑戦を続けていきます。
家族みんなで妹を支えるなかで、妹のできることが増え、通常学級に通うようになったときがありました。しかし、通常学級での授業が始まると、徐々に妹の元気がなくなっていき、ついに「学校に行きたくない」と言うように。そのとき自分が「みんなと同じことがいいことだ」と思いこみ、知らず知らずのうちに、妹を型にはめ込んでいたことに気付かされました。
それからは特別支援学校に通うようになり、親身な先生方に支えられ、できなかったことが少しずつできるようになりました。「学校が楽しい」と妹も家族も笑顔になれました。「子どもの喜びを身近で感じることができる教師は、何て素晴らしい仕事だろう」と感動し、私も教育者を志しました。
今、教壇に立つ中で、生徒と以前の妹の姿が重なります。目の前の生徒にも、妹のように無限の可能性がある。輝ける場所がある。この子が笑顔になれば、みんなが笑顔になれる。そのために自分にできることが必ずあると確信しています。
学校現場は悩みと試行錯誤の連続ですが、今日も目の前の一人の笑顔のために尽くす「創価教育の実践者」として挑戦を続けていきます。
創価大学への進学を考えている後輩たちに、メッセージをお願いします。
私が中学生の頃、地域の方が創大のパンフレットを持ってきてくれました。最初は選択肢の一つくらいにしか思っていませんでしたが、高校生になって両親から「自分で見て大学を決めなさい」と言われ、創価大学を含め、いくつかの大学のオープンキャンパスに参加しました。
創価大学の学生はみんな元気で、創大の魅力を語る先輩の姿が本当に輝いて見えました。母校に誇りを持てることがうらやましく感じ、少しずつ心を動かされていきました。
受験当日、緊張している自分に向かって、見ず知らずの先輩が「合格して一緒に学べることを楽しみにしています!」と声をかけてくれました。先輩の温かさに触れ、「ここで学んで教師になろう!」と決意できました。
創大の4年間、教職大学院の2年間で、かけがえのない学友と出会うことができました。社会に出た今も、共に使命の道を歩んでいることを感じていますし、大変なことがあっても、学友のことを思い出し、「自分も負けてはいられない!」と奮起しています。
創価大学への進学を迷っているひともいると思いますが、「自分で見て決める」ことが大切だと思います。みなさんが創価大学で学び、たくさんの出会いのなかで、使命の道を見つけられることを楽しみにしています!
創価大学の学生はみんな元気で、創大の魅力を語る先輩の姿が本当に輝いて見えました。母校に誇りを持てることがうらやましく感じ、少しずつ心を動かされていきました。
受験当日、緊張している自分に向かって、見ず知らずの先輩が「合格して一緒に学べることを楽しみにしています!」と声をかけてくれました。先輩の温かさに触れ、「ここで学んで教師になろう!」と決意できました。
創大の4年間、教職大学院の2年間で、かけがえのない学友と出会うことができました。社会に出た今も、共に使命の道を歩んでいることを感じていますし、大変なことがあっても、学友のことを思い出し、「自分も負けてはいられない!」と奮起しています。
創価大学への進学を迷っているひともいると思いますが、「自分で見て決める」ことが大切だと思います。みなさんが創価大学で学び、たくさんの出会いのなかで、使命の道を見つけられることを楽しみにしています!
PROFILE
星原 律 Hoshihara Ritsu
[好きな言葉]
子どもの幸福を目指す慈愛の教育者たれ!
[性格]熱血、人思い
[趣味]
野球、釣り
コロナ禍をきっかけにギターを勉強中
[最近読んだ本]
『解きたくなる数学』佐藤 雅彦、大島 遼、廣瀬 隼著 岩波書店
『バビロン大富豪の教え』ジョージ・S・クレイソン著 文響社
ページ公開日:2022年07月29日